ワークショップ
2008年度 第3回 市場班ワークショップ
- 日時
- 2009年3月3日(火) 13:00-17:40
- 場所
- 阪大吹田キャンパス銀杏会館内B会議室
- 参加人数
- 12人
- 報告概要
13:00~13:50
山邑紘史 (東京工業大学)
"Inefficiency of Demand Mechanisms in Pure Exchange Economies"
純粋交換経済におけるメカニズムデザインに関する研究である。先行研究では受け取るメッセージが効用関数のみ,数量のみではうまくいかないということが分かっている。そこで価格を導入すると,相対的にうまくいくようになる。価格・数量メカニズムと数量メカニズムの差を決定づけているのが、局所的一意性にあるということを明らかにした。
13:55~14:45
草川孝夫 (広島修道大学)
"When Do Noise Traders Affect Stock Prices? An Experimental
Study"
この研究で考えられているノイズトレーダーとは将来の配当の情報をよく知っていない,ないしはバイアスのある人のことをいう。一方,裁定者とはそれらの情報をよく知っている人である。標準的なファイナンスの理論だとノイズトレイダーは株価に影響を与えないということが分かっているが、シュライファーによると,裁定に制約がある場合、ノイズトレイダーの行動が株式に影響を与えるということが分かっている。そこで裁定者が配当を受け取るまで市場に残るケース(長期、裁定に制約がない)と配当を受け取る前に市場から退出するケース(短期、裁定に制約がある)とで実験を行い、短期では、長期に比べてノイズトレーダーの行動がより株価に影響を与えるということを明らかにした。
14:55~15:45
西村直子 (信州大学)
"Average Bids Multi-unite Auction with Restriction on Seller's
Bid - Japanese Rice Market"
米市場における取引所のオークションのルールを検討している。一人一札のケースの実験結果として、独占と競争均衡の間にデータが分布している、指し値制限があると競争均衡に近くなる、取引量は回を追うごとに低下する、指し値制限は指し値を低下させる効果がある、などの結果が得られた。一人二札のケースでは、競争均衡に近い価格なのに,取引数量が減少する傾向がある、第一札は指し値より高い、第二札はそれよりも低い、指し値に近い人の第一札は指し値に近い、などの結果を得た。この結果の解釈としては、ディマンドリダクションが発生しているのではないかなどの議論がなされた。
15:50~16:40
鈴木久美
(米沢女子短期大学)
"Experiments on a Rational Bubble in a Security Market"
合理的バブルが発生するかについての実験研究を行っている。ブランチャードモデルをベースとした実験を行い、モデルが示唆するような価格が無限に発散するような合理的バブルは観察されなかった。さまざまな価格パスが観察されたが、バブルが起こったケースでも必ずどこかでクラッシュしてしまう。今後の課題として、どのようなタイミングでバブルがクラッシュするかなどの検討が必要であるという議論がなされた。
16:50~17:40
熊川剛久 (京都大学)
"Does Cooperation Exceed the Prediction of Game Theory? A
Voluntary Contribution Mechanism Experiment with Interior Nash
Equilibria"
公共財供給に関する実験研究である。本研究では詳細な利得表とラフな利得表、相手の利得表をわかっている場合とわかってない場合で公共財実験が行われている。公共財ゲームは複数の均衡が存在するようなゲームが採用されている。ラフな利得表ではナッシュ均衡よりも多くの協力行動が観察され、詳細な利得表ではほぼナッシュ均衡に近い行動が観察された。相手の利得を知っていると協力をする被験者が多くみられたのに対し、知っていないと協力が起こらないという結果が得られた。
18:00~
懇親会: 銀杏会館内「ミネルバ」