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2009年度 第2回 意思決定班ワークショップ

日時
2009年8月27日(木) 15:00-17:00
場所
立命館大学衣笠キャンパス 敬学館236室
参加人数
45人

 

報告概要
 

今回のワークショップは、日本心理学会大会でのワークショップで開催された。個人の意思決定や選択の問題は、心理学のみならず経済学や社会学などの様々な社会科学分野において重要な位置を占める問題である。それらの諸領域では、一般に選択を記述するにおいては、意思決定者が「選好」を持つことを仮定し、かつその構造を不変かつ所与のものとして取り扱い、その上で個人の選択やマクロな諸現象を記述することが多い。しかし、種々の心的諸過程を踏まえるなら選好構造が様々な要因に影響を受けるものである事は論を俟たない。ただし、そうした視野から選好構造、あるいは効用関数の形成プロセスについての議論が十分になされているとは言い難い。本WSではこうした視点から,近隣の社会科学領域との相互作用を見据え、かつ、社会的、行動的、認知的な心理学的知見を踏まえつつ、複数の話題提供とそれに基づく討議を行った。下記の内容になっている。

 

選択問題における選好の「形成」過程
Process of preference's formation in choice problems

 

司会とイントロダクション   藤井 聡(京都大学)
話題提供 竹村和久(早稲田大学)  選好形成と意思決定
羽鳥剛史(東京工業大学) 選好形成に関する調査研究
丹野貴行(慶應義塾大学) 選好形成における動物研究
指定討論 西條辰義(大阪大学)

 


1.司会とイントロダクション   藤井 聡(京都大学)
今回のワークショップの目的と意思決定研究としての選好形成過程研究の意義について解説が行われた。

 

 

 

 

2.  選好形成と意思決定 竹村和久(早稲田大学)
選好形成研究のこれまでの研究についてレビューを行い、現在行っている「選択による選好の形成」に関するアイカメラを用いた実験について報告を行った。この報告では、単純接触効果やゲイズ効果のほかに、選択することによっても選好が形成される可能性が指摘され、参加者との討論が行われた。

 

 

 

3.選好形成に関する調査研究 羽鳥剛史(東京工業大学)
この報告では、選択することにより選好が形成される可能性を、調査研究の結果をもとに議論された。調査研究の結果、特定の商品の選択がその次回以降の選好における属性の重みの形成に影響することが指摘された。この調査結果について参加者との議論が行われた。

 

 

 

4.選好形成における動物研究 丹野貴行(慶應義塾大学)
動物研究における選好形成についての研究についてのレビューを行った。特に、マッチング法則の形成における微視的過程などについての理論や最近の実験研究について報告が行われた。動物研究における選考形成研究について参加者との討論が行われた。

 

 

 

5: 指定討論 西條辰義(大阪大学)
これまでの経済学の流れを展望して、選好の形成についての問題意識が主流派からは見過ごされる傾向にあったことが指摘され、こうした問題意識から経済学的観点からの選好の形成についてのモデルが発表された。また、個人の意思決定が、諸個人の相互作用をしてどのような帰結をもたらすのか、社会制度とどのように関係するのかなどについて今後明らかにする必要があると指摘された。最後に、参加者との討論が行われた。

 

 

 

大阪大学社会経済研究所 西條研究室 Tel:06-6879-8582 Mail:secsaijo@gmail.com