実験社会科学 - 実験が切り開く21世紀の社会科学 -

報告者：田中沙織氏（大阪大学社会経済研究所,特任准教授）
論題：時間割引の脳機構: 神経経済学的アプローチ

概要：

近年, 時間割引と肥満度や債務の大きさといった社会的な行動との関連性が指摘されている. 我々は, 被験者が異なる時間割引率での報酬予測を必要とする課題遂行時の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI) によって測定した. その結果, いわゆる「情動回路」が短期の報酬予測（割引率大）に, またいわゆる「認知回路」が長期の報酬予測（割引率小）に関わることを明らかにした. また, 被験者の中枢神経系のセロトニンレベルを人為的にコントロールした状態で,同様の課題遂行時の脳活動をfMRIによって測定した結果, セロトニンレベルが低いと短期の報酬予測に関わる「情動」回路が, また高いと長期の報酬予測に関わる「認知」回路がより活動することを明らかにした. 今後, 人間の社会行動のより深い理解と，衝動性を抑える臨床的な応用, さらには社会的貢献につなげたい.

※後日，以下のURLにもアップされますので参照下さい
http://www.rieb.kobe-u.ac.jp/academic/ra/seminar/index-j.html

※懇親会はございません

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