ワークショップ
2011年度 第2回 意思決定班ワークショップ
- 日時
- 2011年11月16日(水) 16:30~20:30
- 場所
- 早稲田大学文学学術院 戸山校舎 39号館第5会議室
- 参加人数
- 15名
- 報告概要
このワークショップは、意思決定班としてのこれまでの研究報告とともに、連携研究者や公募研究の意思決定班の方々に研究の成果を発表いただき、その研究成果についての議論とともに、今後の意思決定班の研究の進め方や、他班との連携の在り方について議論を行い、意見交換を行った。発表者は、まず、竹村和久(早稲田大学)氏が意思決定班の研究目的とこれまでの選好形成実験研究知見について報告を行い、次に、大久保重孝(早稲田大学)氏が情報モニタリング法による多属性意思決定研究についての成果を報告し、坂上貴之(慶応義塾大学)氏が、刺激と反応の潜在的関係性をIRAPを用いた選好の測定の観点から報告した。また、連携研究者の高橋英彦(京都大学)氏が損失忌避の分子イメージングについて報告し、公募研究意思決定班の辛島彰洋(東北大学)氏が 脳幹の広範囲調節系ニューロンが意思決定を調節するメカニズムの解明について研究報告を行った。さらに、井出野尚(早稲田大学)氏が選好形成実験の方法論と最近の知見について報告を行い、最後に、藤井聡(京都大学)氏が選好形成についての考察を行い、その後に総合討論を行った。
司会者
竹村和久(早稲田大学)
発表者
竹村和久(早稲田大学)
意思決定班の研究目的とこれまでの選好形成実験研究知見について
大久保重孝(早稲田大学)
情報モニタリング法による多属性意思決定研究について
坂上貴之(慶応義塾大学)
刺激と反応の潜在的関係性:IRAPを用いた選好の測定の可能性
高橋英彦(京都大学)
損失忌避の分子イメージング
辛島彰洋(東北大学)
脳幹の広範囲調節系ニューロンが意思決定を調節するメカニズムの解明
井出野尚(早稲田大学)
選好形成実験の方法論と最近の知見について
藤井聡(京都大学)
選好形成についての考察
1.意思決定班の研究目的とこれまでの選好形成実験研究知見について
竹村和久(早稲田大学)
今回のワークショップの目的と意思決定過程のマイイクロ分析研究の最近の実験成果の概要について報告が行われた。その後、出席者との成果に対する議論が行われた。
2.情報モニタリング法による多属性意思決定研究について
大久保重孝(早稲田大学)
意思決定過程の過程追跡技法の一種である情報モニタリング法の方法論と最近の知見のレビューが行われ、意思決定班で行っている情報モニタリング法の成果について報告が行われ、出席者との意見交換が行われた。
3.刺激と反応の潜在的関係性:IRAPを用いた選好の測定の可能性
坂上貴之(慶應義塾大学)
刺激と反応の潜在的関係性を把握するために、近年行動分析学で特に発展してきたIRAPによる選好の測定についての実験研究の意義について報告がなされ、近年のIRAPを用いた研究の成果が報告され、出席者との意見交換が行われた。
4. 損失忌避の分子イメージング
高橋英彦(京都大学)
意思決定における損失忌避の現象がこれまでに知られているが、この損失忌避の現象の分子イメージング研究についての研究報告が行われた。特に、プロスペクト理論を用いた価値関数の推定パラメータと脳機能との関係が考察され、出席者との意見交換が行われた。
5. 脳幹の広範囲調節系ニューロンが意思決定を調節するメカニズムの解明
辛島彰洋(東北大学)
脳幹の広範囲調節系ニューロンが意思決定を調節するメカニズムについての報告が行われた。また、このメカニズムを解明するために、移動式の計測装置を開発し、その開発した装置を用いた研究の方法について解説が行われ、出席者との意見交換が行われた。
6. 選好形成実験の方法論と最近の知見について
井出野尚(早稲田大学)
選好形成実験の意思決定班の最近の研究成果について報告が行われた。特に最近の実験では、無意味刺激を用いて、選択反応それ自体が選好に影響を及ぼす知見が得られたことが報告され、その知見の意思決定論的考察がなされ、参加者との意見交換がなされた。
7. 選好形成についての考察
藤井聡(京都大学)
選好形成過程の社会実験や社会調査を通じて、選好と社会的意思決定の関係についての知見と、近年の東日本大震災の問題やTPPについての議論を意思決定論的に分析し、処方箋を提示した。最後に、参加者との意見交換がなされた。
8.総合討論
竹村和久(早稲田大学)
選好の形成過程の実験結果の考察や今後の意思決定研究についての考察を行い、意思決定班内の研究の進め方、連携研究者や公募研究者とのコミュニケーションのあり方、他班との連携の在り方について積極的に取り組む旨の話し合いがなされ、来年度の国際心理学会でも、意思決定班から「意思決定と選好形成」についての招待シンポジウムを行うことが報告された。最後に、ワークショップ参加者との意見交換が行われた(ワークショップ終了後に懇親会が開催された。