大阪大学社会経済研究所 教授
生年月日:1957年10月20日
所属学会:日本経済学会、行動経済学会など
研究分野:マクロ経済学、国際マクロ経済学、行動経済学、ファイナンス
     

主な研究領域は,マクロ経済学,国際マクロ経済学,行動経済学,そしてファイナンス.とりわけ,(1)消費選好と選択・行動の理論:時間選好率形成,習慣形成,(2)セルフ・コントロールと異時点選択行動:負債行動,肥満,喫煙など,(3)資産価格の決定 という3つの研究テーマで研究を進めている.

(1)の成果として,贅沢への選好が国民経済の富の蓄積にどのような影響を与えるかという,何世紀もの間議論されてきた古い問題に対して,最新の動学理論を用いてひとつの回答を与えた(Ikeda (2006, IER)).この研究は,Annual Report of Osaka University 2006で2005年−2006年期大阪大学10論文のひとつに選ばれている.また,冨と時間選好率の間に見られる負の相関がもっている理論的含意を明らかにした(Hirose and Ikeda (2008, JER; 2012, JOE; 2012, JEDC, 2015, METEC, ECMD)).さらに,時間選好率と危険回避度に見られる相関を説明できる理論モデルを提案している(Ikeda and Tanaka, (2011)).

小国の対外経常収支の変動を説明する上で習慣形成仮説が有効であることを示唆した論文(Ikeda and Gombi (1999, JIE))が,やはりAnnual Report of Osaka University 2000で1999年−2000年期大阪大学10論文に選ばれている.この仕事を2国モデルに拡張し,異質な消費者が相互に依存する世界経済モデルを使って合理的習慣形成を分析した論文(Ikeda and Gombi (2008, MDY))では,既存研究によって提出された日米の経常収支パズルを解決している.論文(Ikeda (2009, RDE))では,財ごとに異なった習慣が形成される場合の開放経済動学を明らかにしている.

(2)では,時間選好率(時間割引率)が選択条件や人口統計・経済要因にどのように依存し,そこに観察される時間割引率の水準やバイアスによって実際の消費行動や,肥満,過剰負債,喫煙といった諸問題がどのように発生するのかを解明しようと取り組んでいる.Ikeda, Kang, and Ohtake (2010, JHE)では肥満や低体重が,Ikeda and Kang (2015, JER))では負債や過剰負債傾向が,またKang and Ikeda (2014, HEC)では喫煙行動が、時間選好率や異時点間選択バイアス(双曲割引,符号効果)と相関していることを実証的に示している(JHE論文は、Annual Report of Osaka University 2010-2011で2010年−2011年期大阪大学10論文に採択).これらの研究をもとにして,『自滅する選択』(2012, 東洋経済新報社)、および、Economics of Self-Destructive Choices (forthcoming, as a volume of Advances in Japanese Business and Economics, Springer) を著した。前者は第55回日経・経済図書文化賞を受賞し、ハングル語にも翻訳されている(2013,キム・ユンギョン訳).

現下の研究では,消費者の自制行動を説明できる新しい異時点間選択モデルとして,意志力を考慮した消費者モデルを考案し(Ikeda and Ojima (2012)),行動経済学会会長講演として同学会機関誌に発表した(池田(2013)). また行動経済学での仕事として、これまで日本人研究者によってなされた行動経済学に関連した代表的な学術研究を集めた2冊の論文集を編集した(Ikeda, Kato, Ohtake, Tsutsui eds, 2015a, bとして出版予定)。

(3)については,市場のファンダメンタルズに依存した投機的バブルの概念を提案し,従来のバブル理論の限界を批判した論文(Ikeda and Shibata (1992, JME; 1995, JIE))が,二つの代表的な学術誌に掲載されている.裁定理論を国際資本市場に拡張し,米国ファイナンス学会機関誌に掲載された論文(Ikeda (1991, JOF))は,この分野の重要論文としてリーディングス,International Securities,The International Library of Critical Writings in Financial Economics, 2001 に再録されている.