菊地さんの論文は、学習指導要領の改訂が教育年数、大学進学率、高校進学率に与えた影響を実証的に分析され、指導要領の改訂が高校進学率を引き下げることで教育年数にマイナスの影響を与えたことを明らかにされました。また、私立中学出身者を比較対象グループにして、制度変更を丁寧に調べ、巧みな実証分析を行いました。
那須田さんの論文は、土地をより多くもっている豊かな農家ほど児童労働が行われているという資産矛盾効果が土地貸借の可能性によって解消されることを、カンボジア農村のデータをもとに実証的に明らかにしました。同程度の土地貸借の可能性に直面している農家をマッチングして比較するという工夫で信頼度の高い検定がなされました。
森岡さんの論文は、従業地が与えられた時にどの地域に住むかをという居住地選択問題を定式化し、離散選択問題の実証モデルを推定されました。土地の魅力を分析者に観察可能なものと、観察不可能なものに分けて推定することに成功しました。また、理論モデルを利用可能な実証データから推定可能な実証モデルに変換し推定することにも成功しました。