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講師
須永 美穂
すなが みほ

大阪大学経済学部卒、博士(大阪大学)

[専門分野]
マクロ経済学

近年の研究テーマ
資金市場・金融システムに焦点をあてたマクロ経済分析

次の2つの分析テーマについて、研究を進めてきました。
(1)金融機関の行動、金融市場の発達度合と金融市場にかかる規制が経済全体に与える影響
(2)若年世代と高齢世代の経済活動にかかるリスクへの態度の違いが経済全体の貯蓄、投資、そして、経済成長に与える影響

現在、(1)について、金融機関の行動と金融市場の発達度合を明示的に考慮したマクロ経済モデルを構築して、各国にとって望ましい自己資本比率規制についての分析を行っています。約15年前の金融危機以降、国際基準の自己資本比率規制は強化されてきました。一方、近年の実証研究をみてみると、金融市場・金融システムの発達度合は、国や経済によって、様々です。 この研究は、「金融市場・金融システムが発達した(していない)国にとって、経済成長や資源配分の非効率性の是正の観点から、自己資本比率規制強化は望ましいのか?」を明らかにして、望ましい規制のあり方を示すことを目的として、進めています。現在得られている分析結果の一つは、金融市場が発達していない(金融市場にかかる法的規制や制度が整っていない)国では、自己資本比率規制強化が資源配分を効率的にするので望ましいが、金融市場が発達した国では自己資本比率規制の強化が経済を歪めることを示しています。

(2)についての研究では、高齢世代が若年世代よりもリスク回避的である経済において、高齢化が生じると、高齢世代がリスク回避的な行動を選択して、資本が蓄積されないことを示しました。近年の実証研究で、人が年をとればとるほどリスクを取らなくなることが示されています。 (2)は、そうした実証結果が示す“現実”を考慮して、経済活動にかかるリスクへの態度に関する個人や各世代における “違い”を踏まえて、そのリスクを各世代や個人間でどのように担っていけば、社会はより豊かになるのだろうか、そして、先進国の多くが直面している高齢化にかかる問題を克服できるのだろうか、ということを明らかにすることを目的とした、貯蓄と投資をむすぶ資金市場に目をむけたマクロ経済の研究です。

主要業績