KSAC PBL プログラム

「ナッジと公共政策」特別公開
ワークショップ2026 レポート

2026年3月14日(土)|大阪大学吹田キャンパス CiDER

2026年3月14日(土)、大阪大学吹田キャンパスにて、大阪大学の名物講義「ナッジと公共政策」の特別公開ワークショップが実施されました。当日は、高校生、大学生、行政職員などが対面で100名以上、オンラインで50名以上が参加。昨年3月に竣工したばかりの大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)にて、春晴れのなか開催されました。

OVERVIEW

イベント概要

今年度の「ナッジと公共政策」特別公開ワークショップでは、行動経済学の知見を社会課題の解決に活かす「ナッジと公共政策」をテーマに、3つの自治体の政策課題への取り組みを報告する成果報告会、ネットワーキングランチ、自治体や学生によるポスター発表を通じて学びや交流を深める場となりました。それでは、当日の様子を写真とともに振り返っていきましょう!

集合写真
第1部

成果報告会

最初のプログラムは、「ナッジと公共政策」の講義の成果報告会です。2025年度の講義に参加していただいた3つの自治体と政策課題に取り組んだ学生からの発表がありました。

発表 1
大阪府「コンビニでの野菜摂取促進ナッジ」

大阪府茨木保健所の金山さんより、若い世代で野菜の摂取量が不足していることが課題との説明。「若い世代に、健康づくりに取り組んでもらいたい」という思いから、本講義に参加されたそうです。

大阪大学の川合さん、柳田さんからは、カット野菜の購入促進を目的に、大学コンビニで陳列変更とポップ設置の実験を実施したこと、ポップは「カット野菜は袋のまま食べられる」「主食と野菜をセットで食べる」という訴求を行い、事後アンケートでは87%が認知したこと、今後はPOSデータで効果検証予定であることが報告されました。

大阪府発表の様子
発表 2
尼崎市「納税促進ナッジ」

尼崎市の江上さんによれば、類似都市と比べ、尼崎市では滞納率が高いそうです。大阪大学の後藤さん、大城さんは、市民向けの催告用のSMSメッセージを作成し、通常メッセージ送付群と比較したそうです。結果としては、損失を強調するメッセージが通常メッセージよりも納税率が有意に高かったとの報告がありました。

尼崎市発表の様子
発表 3
旭川市立旭山動物園「寄付促進ナッジ」

旭山動物園の滝口さん、北海道行動デザインチームの倉野さんによれば、動物園の園内での募金は動物の迎入れや飼育のために活用される重要な自主財源であり、寄付を増やすにはどうしたらよいかという課題があるとのこと。

阪大の後藤さん、神橋さんからは、カバに着目し、写真撮影を促すポスターや寄付したくなる募金箱を作成したこと、募金人数は有意に上昇したが一人あたりの平均募金額は有意に減ったこと(千円札による募金が減ったため金額的には減ってしまった)、他の募金箱への影響はなかったこと、愛着や写真撮影枚数などは増加したことなどが報告されました。

旭山動物園発表の様子

その後のパネルディスカッションでは、フロアからの質問も含めて活発な議論が行われました。ナッジを取り入れてよかった点、調整に苦労した点などを率直に意見交換。それぞれのテーマや立場からのお話や、取組の裏話などに、参加者の皆さんも学ぶ点が多かったようです。

パネルディスカッションの様子
LUNCH

ネットワーキング・ランチ

立食形式の軽食が提供され、参加者同士の交流が行われました。

ランチの様子①
ランチの様子②
第2部

ポスター発表

続いて行われたポスター発表では、自治体16組、学生2組、特別ブースとしてNPO法人Policy GarageとNPO法人Policy Garage大阪大学行動経済学研究会がそれぞれの取組のポスター発表を行いました。

ポスター発表の様子①
ポスター発表の様子②
ポスター発表の様子③
ポスター発表の様子④
🏆 優秀ポスター賞

会場投票によるオーディエンス部門2組、NPO法人Policy Garage部門1組、「ナッジと公共政策」部門3組の計6組が表彰されました。

オーディエンス部門
  • ナッジで実現!イオンモール堺北花田のトイレ電力削減チャレンジ(堺市環境行動デザインチームSEEDs 亀井綺音・松野はるな・前川裕輔)
  • 駅駐輪場における自転車施錠率向上に向けた取組(兵庫県警察生活安全企画課 三島広之・代田友哉)
Policy Garage部門
  • コミットメントカードはHACCP導入の第一歩となるか(熊本市 健康福祉局 保健衛生部食品保健課 水田貴子・甲斐淳平・丸内晃子)
ナッジと公共政策部門
  • 令和7年度国勢調査の試験調査におけるナッジ応用(NPO法人Policy Garage/横浜市行動デザインチームYBiT/横浜市 髙橋勇太)
  • ナッジによる市税納付率向上の実証実験(マッセOSAKA主催「行動経済学(ナッジ理論)の活用研究会」笹俊克・八田知樹・生野勝也・梶川友美)
  • 風営適正化法法定講習受講を促す情報提供ナッジの実装と効果検証(高知県警察本部生活安全部生活安全企画課 山川智子・島田貴仁)
表彰の様子①
表彰の様子②
表彰の様子③

ここでは、特別に当日発表された一部のポスターをご覧いただけます。

VOICES

参加者の声

イベント終了後、参加者の皆さんからたくさんの感想をいただきました!

💬
オンラインで参加できるのはありがたい
💬
全く専門的な知識のない高校生だが、「ここはこうしたらどうなるのだろう?」などと考えながら楽しく参加することができたので、非常にありがたい機会だった。この分野にさらに関心が高まった
💬
ナッジに興味があったので、実際のナッジがどのように身の回りで研究されているのかが体感できた。とても楽しい会でした
💬
色々な自治体や研究者の方とお話しすることができ、今後の業務や研究で活かすことができそうです
💬
報告会は3つとも違う種類の研究発表でいい意味でゆるい感じで、初めての参加でも入りやすかったです。ポスター発表は興味のあるものを中心に、発表者からポスターには書いていないリアルな話を聞くことができたのがよかったです
💬
自身の仕事で活用できるヒントがもらえればと思って参加しましたが、多くの自治体の方と交流することができて、ナッジで課題を解決したいという思いを共有できたことが大きな収穫でした。ありがとうございました
💬
公共事業の対象者に向けた取組についてでしたが、組織の中で職員の行動変容にも繋げられそうな内容もあり、まずは内部から取り組んでみようと思いました
💬
今後も、継続していただきたいです

「ナッジと公共政策」は、引き続き2026年度の開講も決定!これからの取り組みにもぜひご期待ください! (文責:ポリシーナッジデザイン合同会社 植竹香織)