人々は損したことが分かっている株をなかなか売ることができません。成果主義がいいと言われても年功賃金がやはり好まれます。リコール隠しが生じたり、不良債権処理が長い間進まなかったのはなぜでしょう。平均的には損をすることが分かっているのに、どうして人々は「宝くじ」を買うのでしょう。狭い意味の合理性を前提にした経済学では、説明できないことが多いのです。一見、非合理に見える経済行動を、心理学や社会学の考え方を取り入れることで説明し、経済学をより現実的な学問にするのが行動経済学です。大阪大学社会経済研究所では、新しい経済学である行動経済学を研究するためのセンターを設立しました。センター開設を記念して行動経済学の現実経済への有用性と魅力を一般の方々にご紹介するためのシンポジウムを開催します。