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第3回応用計量経済学コンファランスの開催と優秀論文賞
第3回応用計量経済学コンファランスの開催と優秀論文賞
プログラム委員会
2008年11月22日と23日の二日間、ホテル阪急エキスポパークで、第3回応用量経済学コンファランスが、大阪大学グローバルCOE「人間行動と社会経済のダイナミクス」の主催で行われました。
このコンファランスは、日本の実証研究の振興を目的に、大学院生および特任研究員レベルの若手実証研究者に論文を報告してもらい、討論を行うものです。本年度は、報告論文を公募し、多数の応募論文から8つの論文が採択され、報告されました。産業組織、労働、金融、財政、住宅、経済発展と分野は多岐にわたりましたが、いずれも優れた論文で、活発な討議が行われました。
中でも、優秀な論文であった次の3つの論文に対し、プログラム委員会は優秀論文賞を授与することに決めました。

第3回応用系計量経済学コンファランス優秀論文賞(アルファベット順)

講評

庄司さんの論文は、バングラディシュのマイクロファイナンス制度における災害時の返済延期制度(リスケジューリング)が貧困者の消費の平準化に寄与したか否かを、独自調査で集めたデータをもとに、計量経済学的に明らかにしたものです。問題意識、オリジナルデータの収集、計量分析手法の3つの観点とも高く評価されました。

高橋さんの論文は、ユニオンショップ制度という日本の労働組合の制度が、労働組合の活動意欲を低下させているか否かを、実証分析したものです。ユニオンショップ制度は、労働組合員でなくなると従業員資格を失うという制度です。そのため、ユニオンショップ制度の組合は、組合員を獲得するために組合の魅力を増す必要がなく、組合活動の意欲が低下するのではないか、と言われてきました。ところが、ユニオンショップ制度のもとでは、労働組合は、組合員獲得活動をする必要がないので、賃金交渉に集中できるというメリットもあります。高橋さんは、この点を理論的に整理し、実証研究を行いました。ユニオンショップ制度の組合の方が、そうでない組合より労使交渉の回数が多いことを明らかにしました。オリジナルな問題の発見と実証研究が高く評価されました。

Weeseさんの論文は、日本の平成市町村合併を協調ゲーム理論をもとに、理論的・実証的に分析したものです。日本の地方交付税交付金制度による補助金制度の特徴と市町村の歳出の費用構造によって決定される市町村の効用関数の構造パラメーターを、合併可能性のあるグループから合併を選択するモデルを高度な計量経済学的手法で推定しています。求めた構造パラメーターもとに、代替的な政策に関するシミュレーションを行っている点が特徴です。平成大合併を、厳密な数理的なモデルに定式化し、計量経済学的に分析したアイデアと能力が高く評価されました。