top page
ご挨拶 概要 メンバー プロジェクト 研究会 dp 学生の支援 関連記事 21世紀COE
第5回応用計量経済学コンファランスの開催と優秀論文賞
第5回応用計量経済学コンファランスの開催と優秀論文賞
プログラム委員会
2010年11月13日と14日の二日間、大阪大学社会経済研究所万博オフィスで、第5回応用計量経済学コンファランスが、大阪大学グローバルCOE「人間行動と社会経済のダイナミクス」の主催で行われました。
このコンファランスは、日本の実証研究の振興を目的に、大学院生および特任研究員レベルの若手実証研究者に論文を報告してもらい、討論を行うものです。本年度は、報告論文を公募し、多数の応募論文から10論文が採択、報告されました。分野は多岐にわたりましたが、いずれも優れた論文で、活発な討議が行われました。中でも、優秀な論文であった次の3つの論文に対し、プログラム委員会は優秀論文賞を授与することに決めました。

当日の様子

               


第5回応用計量経済学コンファランス優秀論文賞(五十音順)

  • 菊地 信義(東京大学大学院経済学研究科)「学習指導要領改訂の効果の推定」
  • 那須田 晃子(一橋大学大学院経済学研究科)「土地貸借は資産矛盾効果を緩和させるか?-カンボジア農村の時間使用データを用いた実証分析-」
  • 森岡 拓郎 (東京大学大学院経済学研究科) 「土地の魅力の定量化-都市内の居住地選択にアメニティが及ぼす影響の分析-」

講評

菊地さんの論文は、学習指導要領の改訂が教育年数、大学進学率、高校進学率に与えた影響を実証的に分析され、指導要領の改訂が高校進学率を引き下げることで教育年数にマイナスの影響を与えたことを明らかにされました。また、私立中学出身者を比較対象グループにして、制度変更を丁寧に調べ、巧みな実証分析を行いました。

那須田さんの論文は、土地をより多くもっている豊かな農家ほど児童労働が行われているという資産矛盾効果が土地貸借の可能性によって解消されることを、カンボジア農村のデータをもとに実証的に明らかにしました。同程度の土地貸借の可能性に直面している農家をマッチングして比較するという工夫で信頼度の高い検定がなされました。

森岡さんの論文は、従業地が与えられた時にどの地域に住むかをという居住地選択問題を定式化し、離散選択問題の実証モデルを推定されました。土地の魅力を分析者に観察可能なものと、観察不可能なものに分けて推定することに成功しました。また、理論モデルを利用可能な実証データから推定可能な実証モデルに変換し推定することにも成功しました。