行動経済学の知見に基づいて「行動変容」を促すナッジへの関心が高まっています。住民サービスの向上や日々の業務の効率化のために、ナッジを活用しようとする地方自治体も増えてきました。そんな中、ナッジを体系的に学び、実践から得られた知見を共有する場所があれば、ナッジの活用がさらにすすむのではないか?そんな考えから、Policy Garage、大阪大学社会経済研究所、行動経済学会の3者が連携して、webサイト「自治体ナッジシェア」を立ち上げました。今回のシンポジウムでは、webサイト「自治体ナッジシェア」の紹介を中心として、3者がこの連携活動を通じて目指す行動経済学の研究と公共政策への応用の将来像について考えていきます。
敦賀 貴之 Takayuki Tsuruga 大阪大学社会経済研究所教授、同研究所 所長
大阪大学の社会経済研究所では、ナッジや行動経済学という言葉が日常生活でたびたび耳にするよりもずっと前から、行動経済学の研究を進めてきました。社会経済研究所の現在と将来についてお話します。
プロフィール
愛知県出身。早稲田大学政治経済学部卒業、早稲田大学大学院経済学科修了。オハイオ州立大学経済学部修了。博士号(経済学)。日本銀行金融研究所エコノミスト、京都大学准教授等を経て、2017年より現職。2020年より社会経済研究所所長を務める。専門は、景気循環、マクロ経済学、応用時系列分析。人々が経済に対して関心がないときに、どうやったら景気をよくすることができるのか、また、どうすれば物価を動かすことができるのか、といったことに関心がある。 週末は、地元の少年野球の審判として、子供たちと一緒に汗まみれになっています。
津田 広和 Hirokazu Tsuda 特定非営利活動法人 Policy Garage代表理事、官公庁/RIETIコンサルティングフェロー
プロフィール
鹿児島県出身。東京大学法学部卒業、シカゴ大学ハリススクール(公共政策大学院)修了。官公庁勤務。気仙沼市での復興支援や横浜市財政担当課長も歴任。経済産業研究所コンサルティングフェローとして、エビデンスに基づく政策(EBPM)を推進。ナッジはじめ行動科学の政策応用にも情熱が広がり、横浜市行動デザインチーム(YBiT)を共同創設。EBPMも行動科学も、行きつくところ人に寄り添って政策や行政をデザインし直すことだと考え、デザイン思考にも情熱が広がり、Policy Garageを共同創設。最近では行政DX関連のプロジェクトにも多数従事。Policy Garageではパッションリーダーであり行動派の切り込み隊長。趣味は読書、運動、飲み会、娘との時間。
星野 崇宏 Takahiro Hoshino 慶應義塾大学経済学部・大学院経済学研究科 教授、慶應義塾大学経済研究所長、行動経済学会 会長
行動経済学会は2007年に発足した比較的新しい学会ですが、研究者のみならず各分野の実務家の集まり日本の行動経済学の研究教育普及啓蒙を進めております。行動経済学会の紹介とともに皆様との連携について議論したいと思います。
プロフィール
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士号(学術、経済学)。情報・システム研究機構統計数理研究所、東京大学教養学部、名古屋大学大学院経済学研究科などを経て、2015年4より現職。2021年12月より行動経済学会会長。理化学研究所AIPセンター・経済経営情報融合分析チームリーダーを兼任。サイバーエージェント技術顧問、マネーフォワード技術顧問、ヤフー研究所技術顧問など多数の企業に顧問として専門知識を提供しフィールド実験を数多く行う。近年の研究テーマは、機械学習を用いた行動経済学的な介入の個別最適化のための方法論の開発と、行動経済学の神経科学的基盤についての研究。会長になるにあたり12キロの減量に成功した勢いで最近では筋トレに励み、全身鏡を新調しようか迷っています
伊豆 勇紀 Yuki Izu 特定非営利活動法人 Policy Garage、宮城県職員、宮城ナッジユニット
プロフィール
宮城県出身。一橋大学経済学部卒業。2016年、宮城県庁に入庁し、産業振興担当、気仙沼市観光課派遣等を経て、2021年より現職の行政改革担当。今年は宮城ナッジユニットを立ち上げつつ、Policy Garageのメンバーとして、ウェブサイト「自治体ナッジシェア」の構築を推進。自分と同じようにナッジに関心を持った全国の自治体職員が、ナッジの知見を学び、仲間とともに実践できる環境を目指す。 EASTフレームワークに基づいたセンスある俳句を詠むため修行中(E:5/7/5、A:魅力的、S:共感、T:季語)
佐々木 周作 Shusaku Sasaki 大阪大学感染症総合教育研究拠点(CiDER)特任准教授(常勤)
プロフィール
大阪府出身。京都大学経済学部卒業、三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。退職後、大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程にて、博士号(経済学)。日本学術振興会特別研究員DC1及びPD・京都大学大学院経済学研究科特定講師・東北学院大学経済学部准教授を経て、2022年より現職。環境省・経済産業省・横浜市などの中央府省庁や地方自治体のナッジ・ユニットなどで有識者委員やアドバイザーを務める。専門は、応用ミクロ計量経済学・行動経済学・実験経済学。主に、自治体や企業と一緒に社会のなかで実験する「フィールド実験」という手法を使って、金銭寄付や感染対策などの「協力行動」を研究している。 最近は、YouTubeの上沼恵美子チャンネルにハマっている。
花木 伸行(Nobuyuki Hanaki)大阪大学社会経済研究所 教授、行動経済学センター長
プロフィール
大阪府出身。筑波大学国際関係学類卒業。米国コロンビア大学大学院修了。博士号(経済学)。2003年筑波大学専任講師、仏エクス-マルセイユ大学教授、仏ニース大学教授等を経て2019年より現職。2020年4月から行動経済学研究センター長を務める。専門は、実験・行動経済学。近年は、持続可能な社会の構築に貢献するべく、西條辰義氏らが提唱する「フューチャーデザイン」の基礎的な実験研究にも取り組む。 最近、お腹の周りが気になってきました。毎日の犬との散歩だけでは、全く運動が足りていないようなので、解決策を模索中!