ニュース

2026年3月10日
Martina Lušková 先生 (Charles University Prague, PhD student) が来所されました。(滞在期間: 2026年3月10日 ~ 2026年3月18日)
2026年3月10日
Tomas Havranek 先生 (Charles University Prague, Professor) が来所されました。(滞在期間: 2026年3月10日 ~ 2026年3月20日)
2026年3月6日
敦賀 貴之教授の論文"A Behavioral Explanation for the Puzzling Persistence of the Aggregate Real Exchange Rate" (with Mario J. Crucini, Mototsugu Shintani) がJournal of the European Economic Associationに受理されました。
2026年3月4日
教員公募1件を掲載しました。応募締切は5月26日(日本時間)です。詳細はこちらをご覧ください
2026年3月3日
石田 潤一郎教授の論文"Signaling Vision: Knowing When to Quit" (with Wing Suen) がInternational Economic Reviewに受理・公開されました。

イベント

3/16
Special Lecture: Meta-Analysis in Economics
プログラム詳細
社研ゲストレクチャーシリーズ
主催
ISER
3/17
Philippos Louis
University of Cyprus(助教授)
社研セミナー
Dynamic (un)structured bargaining in the lab
10:30 ~ 12:00 (A509)
3/23
INTERNATIONAL WORKSHOP on HUMAN-AI INTERACTION
プログラム詳細
4/6
Christos Ioannou
Université Paris-I-Panthéon-Sorbonne(教授)
社研セミナー
Non-parametric Strategy Inference in Repeated Games
13:30 ~ 15:00 (A301)
4/13
高橋 秀典
京都大学
社研セミナー
Bidding Too Low to Win and Too High to Lose? The Roles of Secret Floor Prices in Renegotiation of Incomplete Contracts
13:30 ~ 15:00 (A301)
4/17
Fuhai Hong
Lingnan University
東アジア実験・行動経済学オンラインセミナー
TBA
10:30 ~ 12:00 (Online)
4/20
Hikmet Gunay
University of Manitoba(教授)
社研セミナー
Bidding into Bankruptcy: How Auction Order Affects Overbidding and Losses
13:30 ~ 15:00 (A301)
4/27
Hillel Rapoport
Université Paris-I-Panthéon-Sorbonne
社研セミナー
TBA
13:30 ~ 15:00 (A301)
5/11
Joshua Hausmann
University of Michigan
社研セミナー
TBA
13:30 ~ 15:00 (A301)
5/15
Wei Huang
Chinese University of Hong Kong
東アジア実験・行動経済学オンラインセミナー
TBA
10:30 ~ 12:00 (Online)
5/18
市橋 翔太
Queen's University
社研セミナー
TBA
13:30 ~ 15:00 (A301)
5/29
ChienHsun Lin
National Taipei University
東アジア実験・行動経済学オンラインセミナー
TBA
10:30 ~ 12:00 (Online)
6/1
Tim Ruberg
東京大学
社研セミナー
TBA
13:30 ~ 15:00 (A301)
6/15
Chen Lyu
北京大学
社研セミナー
TBA
13:30 ~ 15:00 (A301)
6/29
Suanna Oh
École d'économie de Paris(助教授)
社研セミナー
TBA
13:30 ~ 15:00 (A301)

最近の研究成果の紹介

社会的文脈における移民と差別の要因:ラテンアメリカ15か国からの実験的
証拠
本論文では、海外からの移民がアマチュアサッカークラブに参加しようとした際に、差別 に直面するかどうか、統計的差別の種類を個人的なもの(個人のプレイスキルに懐疑的)と 構成的なもの(移民がチームにうまくなじめるか懐疑的)の二つに分け、分析を行った。15 ヶ国のサッカークラブチームに向け、10,000通を超える内容が異なる架空の加入申請書を ランダムに送付するというフィールド実験を行った。申請者の出身国、およびサッカーに 精通しているもしくは語学が堪能であるか、の情報をランダムに記載している。この実験 設定により、移民の背景や能力シグナルがクラブチームからの回答をどのように形成した かを検証することが可能になる。
結果として、移民に対する差別の証拠は全体としては見つからなかった。しかし、アジア 圏に出自を持つ申請者に対しては好意的な回答が比較的少ない傾向にあった一方で、ヨー ロッパ圏の申請者にはわずかに地元(南アメリカ)の申請者よりも好感を持たれていたと いう、統計的に有意な差異が見られた。また本研究の結果は、各国のFIFAランキングとク ラブチームからの回答率には負の相関があることを明らかにしており、リクルーターたち はサッカーのプレイスキルの代わりに属する集団の情報を用いて判断しているという個人 に対する統計的差別の形成が示唆された。しかし、所属集団が用いている言語を代理変数 とした集団に対する統計的差別に関する証拠を見つからなかった。他方で、言語の流暢さ や個人のプレイスキルに関する情報は統計的差別に影響を与えなかった。
本研究は、嗜好に基づく差別および統計的差別の分析に広く貢献するものであり、経済的 インセンティブが最小限であるアマチュアスポーツのような社会的状況でさえ、民族ごと の差別的扱いが残りうることを示した。重要な点として、これまでのランダムに履歴書を 送付する実験研究では、嗜好に基づく差別と構成的な統計的差別を混同している可能性が あることに注意されたい。なぜなら、集団に所属していること自体がチームになじめるか の代理変数となりうるからである。本論文は特に、非市場的な環境における移民排除を促 す仕組みに関する将来の研究の必要性を強調すると共に、強力な経済的インセンティブが 存在する設定によりもたらされた結果を過度に一般化することに警鐘を鳴らしている。
Figure 2に関する説明:サンプル数N=10,525。パネル(a)は、海外からもしくは地元からの 申請者に対する回答率の違いが、統計的に有意ではないことを示している。パネル(b)は、 アジアからの申請者には地元の申請者よりも好意的な回答が有意に少ない一方で、ヨーロ ッパの申請者には好意的な回答がわずかに多いことを示している。
※統計的差別: ある個人が所属する属性ごとの統計的な平均値に基づき、推測された結果 として不平等な状態が生じること。
※代理変数:測定が困難であるもしくは利用できない他の変数の代わりとなる変数のこと 。
社会的文脈における移民と差別の要因:ラテンアメリカ15か国からの実験的 証拠
著者: Carlos Gomez-Gonzalez,Gwen-Jiro Clochard,Helmut Dietl,Juan Cruz Duhalde
原題:
Migration and Sources of Discrimination in a Social Context: Experimental Evidence from 15 Latin American Countries
Journal of Development Economics,1791036332026
問題赤:どちらを選びますか?
(a) Box Kから1個引かれたボールの色が緑だったら1000円、黄色だったら0円獲得。
(b) Box Uから1個引かれたボールの色が赤だったら1000円、黒だったら0円獲得。
問題黒:どちらを選びますか?
(a) Box Kから1個引かれたボールの色が緑だったら1000円、黄色だったら0円獲得。
(b) Box Uから1個引かれたボールの色が黒だったら1000円、赤だったら0円獲得。

図1:考案した実験課題

本論文では,曖昧性下におけるランダム支払法の性能を実験的に評価した.ランダム支払法とは、実験参加者が複数のタスクで意思決定を行い、そのうちランダムに選ばれた一つのタスクに基づいて謝金の支払いが行われるという経済実験で用いられる標準的な報酬支払法である.しかし,参加者が曖昧性に直面する実験においては,ランダム支払法を用いても真の選好は抽出できない可能性があることが理論的に指摘され、また、Baillon et al (2022, Econometrica)の実験結果は、そのことを実証した。本論文の実験では独自にデザインした選択問題(図1)における参加者の選択が報酬支払法に応じて変化するか検証すること、そして、Baillon et al. (2022)の再現実験を実施することで、ランダム支払法の性能を評価した.
本研究の主な結果は以下の二つである.第一に,独自にデザインしたオンライン実験とラボ実験のいずれでも,ランダム支払法が抽出される選好を歪めるという証拠は見つからなかった.また、Baillon et al. (2022)の結果は再現されなかった。以上のことから、ランダム支払法が抽出される選好を必ずしも歪めるわけではないことが示された。
曖昧性下におけるランダム支払法の性能評価
著者: 青山知仁,花木伸行
原題:
Experimental Evaluation of Random Incentive System under Ambiguity
Journal of Political Economy: Microeconomics
レーティングシステムは現代のオンライン取引において広く利用されている評価システムであり、消費者は匿名で評価を行い、他の消費者の意見を参考にすることができ る。しかし、こうしたシステムは、消費者の多様な意見を単純な(ときに一次元の)統計量に集約することから、その情報集約の精度は決して高いとは言えない。本研究では、この粗い情報集約システムが売り手の価格戦略に与える影響を分析し、さらにその結果として現れる取引の動学パターンや経済厚生への影響を考察した。
具体的には、消費者の選好が多様であることを明示的に考慮し、価格に敏感に反応する消費者と品質にこだわりを持つ消費者が混在する市場環境の分析を行った。このような状況では、売り手は価格を意図的に引き下げることで、価格に敏感な消費者から高いレーティングを引き出すことが可能となる。こうしたレーティング操作のインセンティブは周期的な価格サイクルを生み出すが、その一方で、売り手が外部オプションを持たない消費者に対して余剰を与えることにもつながる。つまり、レーティングを操作する戦略的インセンティブは自滅的であり、こうしたインセンティブが支配的な環境では、売り手の期待収益は制限され、市場における売り手の支配力は低下することとなる。また、取引プラットフォームは、消費者がレーティングを与える確率を高めるために様々な手段を講じることがあるが、こうした試みは売り手の戦略的インセンティブを強化することとなり、かえって売り手の期待収益を減少させる可能性があることも明らかにした。
レーティングシステムが価格戦略と社会学習の効率性に与える影響について
著者: 石田潤一郎,Chia-Hui Chen, Kong-Pin Chen
原題:
Social Learning and Strategic Pricing with Rating Systems
American Economic Journal: Microeconomics,17(4)1472025
伝統的な経済理論では、各個人は完全合理的に予測・行動するという仮定が広く使われてきた。この仮定は経済分析一般において非常に有用である一方で、現実の消費者の一部は完全合理的ではなく、ナイーブである(合理的期待からシステマティックに乖離した予想をもっている)ことが様々な実証・実験により確認されている。
本論文では、ナイーブな消費者と完全合理的な消費者が混在する場合を理論的に考察した。ナイーブさの中でも、「相手プレイヤーが持つ私的情報を、その相手の行動から完全合理的に推測できない」というバイアスに焦点を当てて分析した。その結果、アカロフの中古車市場のような片側の逆選択により市場の失敗が存在する場合において、ナイーブな消費者と一部の企業が取引することにより、合理的な消費者と残った企業とのさらなる取引が生じるという新たな効果が発生することを示した。この効果は伝統的なモデルでも(ナイーブではありうるが)同質的な消費者のみを分析した既存研究でも起こり得ず、ナイーブな消費者と合理的な消費者の両方が存在することで生じるものである。この効果をもとに最適な制度設計を理論的に特徴づけ、また経済厚生および消費者保護政策への含意を議論した。
消費者の一部がナイーブな場合における最適な市場メカニズムの設計
著者: 室岡健志,山下 拓朗
原題:
Optimal Trade Mechanisms with Adverse Selection and Inferential Naivety
American Economic Journal: Microeconomics,17(4)332025
関係的契約と労働市場の摩擦が賃金、雇用、生産性に与える影響についての理論的分析
市場において、立証可能な契約に基づいた取引ではなく、将来の関係を見越した上での暗黙の合意(関係的契約)のみに基づいて経済活動が行われることは多い。本論文では、このような関係的契約が労働市場で用いられた上で多数の企業が各期において生産活動を行う場合において、労働供給の増加が各労働者の賃金を上昇させうることを理論的に示した。この結果が生じるためには、労働市場における摩擦が特定の性質をもつことが重要であることを発見し、上記の結果が起こる条件を理論的に特徴づけた。さらに、各企業が利潤を最大化する場合においてもマイノリティ・グループの労働者が(異なるグループに属しているということ以外は全く同一の能力などをもつ)マジョリティ・グループの労働者よりも不利な条件で雇用される均衡がある特定の条件下では存在することを示した。また、その均衡のもとでは最低賃金制により労働条件差別の是正および雇用増加の両方が同時に起こりうることを理論的に示した。
関係的契約と労働市場の摩擦が賃金、雇用、生産性に与える影響についての理論的分析
著者: Matthias Fahn,室岡健志
原題:
Informal Incentives and Labour Markets
The Economic Journal,135(665)1442025

Research Highlights

A Behavioral Explanation for the Puzzling Persistence of the Aggregate Real Exchange Rate
Mario J. Crucini,
Mototsugu Shintani,
Takayuki Tsuruga
Journal of the European Economic Association,
forthcoming
Junichiro Ishida,
Wing Suen
International Economic Review,
forthcoming
DOI: 10.1111/iere.70066
Anna Dreber,
Taisuke Imai,
et al.
Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS),
122
(39)
e2508519122
2025
DOI: 10.1073/pnas.2508519122
Carlos Gomez-Gonzalez,
Gwen-Jirō Clochard,
Helmut Dietl,
Juan Cruz Duhalde
Journal of Development Economics,
179
103633
2026
DOI: 10.1016/j.jdeveco.2025.103633
Experimental Evaluation of Random Incentive System under Ambiguity
Tomohito Aoyama,
Nobuyuki Hanaki
Journal of Political Economy: Microeconomics,
forthcoming
wani-hakase
The university of osaka
社会経済研究所
The University of Osaka
〒567-0047 大阪府茨木市美穂ケ丘6ー1
©2026 Institute of Social and Economic Research, The University of Osaka・Photo by Shinya Yamada