日本語での研究紹介


学校ICT 設備、教員とオンライン教育:コロナ禍の日本における学校休業からのエビデンス


原題: School ICT resources, teachers, and online education: Evidence from school closures in Japan during the COVID-19 pandemic
著者: 赤林英夫、田口晋平、 Mirka Zvedelikova
ISER Discussion Paper No. 1207, March 2023

2020 年に発⽣したCOVID19 パンデミックにより、世界中の学校は⻑期間閉鎖され、オンライン教育への移⾏を余儀なくされた。⽇本も例外ではなく学校は閉鎖されたが、学校教育のIT化が⼤きく遅れていることもあり、オンライン教育への移⾏には⼤きな困難が伴った。

本論文では、日本全国をカバーする行政データを使用して、公立小中学校の ICT設備と教師の IT スキルが、オンライン授業の提供、生徒の家族とのコミュニケーション、および閉鎖中や再開直後の教師の勤務時間に与える影響を分析した。

その結果、双⽅向オンライン授業の実施に影響を与えるのはICT 設備、特にWifi の導⼊やプレゼンテーションの設備(プロジェクター、デジタルテレビ、電⼦⿊板)、指導者⽤デジタル教科書の有無であり、教員のIT スキルではないこと、それらはすべて学校と家族とのコミュニケーションへの影響はないことが明らかになった。さらに、教員のITスキルが低い学校では、時間外労働をする教員が多い傾向にあることがわかった。




図1:教師のITスキルの残業する教師の割合への効果

(作成)Mirka Zvedelikova