スマートフォンの普及により、企業は各消費者ごとに異なる取引条件を提示しやすい環境になりつつあります。
実際、消費者が利用しているスマートフォンの機種や消費者の位置情報を利用して提示する価格を決める企業も出始めています。
このような消費者個別の価格を提示できる経済環境において、個別価格を提示する誘因と個別価格の収益性について
理論分析を行いました。
分析では、好みの意味で差別化された製品を提供する企業が2社存在する市場(差別化財複占市場)を設定し、
この複占市場に自身の好みを重視する消費者群と価格を重視する消費者群が存在する状況を取り込んで分析しました。
その結果、関連する既存研究と同様に各企業は個別価格を採用することが明らかになるとともに、
多くの関連研究とは異なり両企業が個別価格を採用しているときの利潤は両企業が均一価格を採用しているときの利潤よりも
大きくなる競争環境が存在することも明らかにしました。
(作成)松島法明