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教授
堀井 亮
ほりいりょう

京都大学工学部卒、博士 (経済学) (大阪大学)

[専門分野]
経済成長、経済発展、マクロ経済学

 
近年の研究テーマ
経済成長理論、応用マクロ経済学

私の専⾨は経済成⻑理論の研究とその応⽤です。 具体的には、経済成⻑がどのようなメカニズムで起こるのか(あるいは起こらないのか)や、環境・⼈⼝動態・⾦融などの要因とどのような関係にあるのかなどを研究しています。

現在、先進国と発展途上国の間には⼤きな所得格差がありますが、産業⾰命前には⼀⼈当たり所得はほぼ⼀定で、国際的にも現在ほどの格差はありませんでした。現在の格差は、産業⾰命以降うまく経済成⻑できた国々(先進国)とうまく成⻑できなかった国の間に発⽣したと⾔えます。では、なぜ経済成⻑が⻄欧で19世紀に「始まった」のでしょうか?私の過去の研究では法制度の整備による⾦融取引の進展が技術進歩と成⻑のきっかけになることを⽰しました。その上で、なぜその他の多くの国がなぜ順調に成⻑できなかったのかという「成⻑の罠」のメカニズムを解明することが、世界の現状を理解する上でも、今後の格差解決のための政策⽴案の上でも重要です。これまでの研究で、教育・労働市場の摩擦・所得格差・環境悪化と健康の関連など、様々な要因によって成⻑の罠が発⽣することを明らかにしています。

将来⽅向の時間軸に⽬を向けると、産業⾰命以降百数⼗年続いている経済成⻑が将来いつまで続くかということも興味深い問題です。経済成⻑と環境問題、特に⾃然災害の相互関連を分析した最近の論⽂では、環境政策(環境税)の漸次的強化が将来の持続的成⻑に不可⽋であることを⽰しました。 また、更に⻑期の経済成⻑を考える場合、そもそも経済成⻑が本質的にどのような現象であるかを問い直す必要があります。これまでの統計では先進国の⼀⼈当たり所得が平均的には年率約2%ずつ上昇してきましたが、物質的⽣産・消費が⾮常に⻑い期間にわたって指数関数的に増加し続けるとは考えにくいからです。そのため、知識の蓄積、技術の選択、新しい財の開発とライフサイクル、消費者の嗜好の移り変わりなどに注⽬して、新しい経済成⻑理論を開発しています。

図:経済成長プロセスにおける技術選択パターンの変化と新産業の勃興。Ryo Horii (2012)
"Wants and Past Knowledge: Growth Cycles with Emerging Industries," Journal of Economic Dynamics and Control, Vol. 36(2), Pages 220-238.
主要業績