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准教授
北村 周平
きたむらしゅうへい

2016年 Ph.D. (経済学) (ストックホルム大学(スウェーデン))
[専門分野]
経済発展論、政治経済学

近年の研究テーマ

私の専門は経済発展論と政治経済学です。因果推論を中心とした応用ミクロ実証研究を基本に、近年は、(a)経済発展における地理、制度、文化の役割及び、(b)人々の政治的な選好、信念、行動に見られる特徴を明らかにすることをテーマに研究を進めています。
ある国はどのようにして経済的に豊かになったのでしょうか。研究者の中には、国家間の「競争」が国を豊かにすると論じる人たちがいます。例えば、現在の世界地図を眺めると、大陸中国には大きな国が一つ、欧州には小さな国が複数あることがわかります。このような国の大きさや形は、少なからず地形に影響を受けているのかもしれません。例えば、大陸中国は沿岸部から内陸部にかけて比較的平坦な土地がしばらく続きます。一方、欧州は高い山々があったり川が多かったりと、比較的複雑な地形をしています。私たちの研究では欧州に着目し、歴史的にみて、その複雑な地形が小国家の形成や経済発展に与えた影響を分析しました。その結果まずわかったのは、欧州の国境は、山岳地帯、川のあるところ、雨の多いところなどに位置しやすいということです。また、国境が長い間安定的に存在していたところ(≒データ上では小さな国が多数存在していたところ)ほど、現在、経済的により豊かであることもわかりました。これらが示唆するのは、複雑な地形が小さな国家を多数育み、それらの国々の「競争」を通じて長期的な経済発展が促された可能性です。



図1:(a)地形がより凸凹し、(b)高い山があり、(c)雨が降りやすく、(d)川がある場所ほど、16世紀から21世紀にかけて安定的に国境があったことがわかる。同時にそのような場所は、現在、(e)夜明るく、(f)人口密度も高いことがわかり、経済活動が盛んであることもわかる。
Kitamura, S. and N.-P. Lagerlöf (2020). "Geography and State Fragmentation." Journal of the European Economic Association, 18(4), 1726–1769.
主要業績
  • Almås, I., M. Auffhammer, T. Bold, I. Bolliger, A. Dembo, S. Hsiang, S. Kitamura, T. Miguel,and R. Pickmans (2023). "Destructive Behavior, Judgment, and Economic Decision-making Under Thermal Stress." NBER Working Paper: 25785 (conditionally accepted at The Economic Journal)
  • Kitamura, S. and N.-P. Lagerlöf (2020). "Geography and State Fragmentation." Journal of the European Economic Association, 18(4), 1726–1769.