東京工業大学卒、博士 (経済学) (東京大学)
[専門分野]
マクロ経済学、国際貿易、 産業組織
不況は身近で深刻な問題ですが、理論モデルの構築は実は非常に困難です。事実、80年以上も前にケインズが提示した不況理論も論理的矛盾が数多く指摘され、それに変わる不況理論の研究も行われていますが、日本の失われた20年のような長期不況の理論はできていませんでした。私は、従来軽視されてきた人々の貨幣保有願望を一般均衡マクロ動学に組み込むことにより、長期的な不況現象が発生することを理論的に明らかにしました。 また、それを使って従来の所得分析に変わる新たな不況分析手法を提示しました。そのメカニズムを要約すると、人々がお金を使うことよりも貯めることに効用を見出せば、需要が不足して不況になりそれがますますお金への保有願望を煽って不況をさらに悪化させるというものです。また、貨幣願望を金融資産全体への願望に拡張することにより、巨大な生産力を持った経済では、不況や格差拡大が必然的に起こることを示すことができます。 さらに、本研究を国際経済の枠組みに拡張し、景気の国際波及について研究しています。本研究の成果は和文・英文の研究書や国際査読誌、一般向けの著書や新聞、雑誌などでも発表し、政策提言も行っています。