日本語での研究紹介


二人の入札者による入札談合を防止するオークション


原題: Characterizing pairwise strategy-proof rules in object allocation problems with money
著者: 篠崎 弘毅
ISER Discussion Paper No. 1187, August 2022

入札談合とは複数の入札者が共謀し、落札価格をつり下げるなど自身の都合の良いように落札結果を歪めることを言う。日本の公共入札では入札談合は独占禁止法により規制されているが、入札談合を摘発することは容易ではない。また、参加者が増えるにつれ入札談合を実施することは難しくなるため、多人数での入札談合は現実的ではない。そこで、本論文では1財オークションモデルで、二人の入札者が入札談合を行う誘因を持たないオークションを分析した。
本論文の主要な結果は次の通りである。

[結果] 二人の入札者による談合入札を防止するオークションは、優先順位オークションのみである。
優先順位オークションとは、事前にオークションの参加者の価格と優先順位を決め、自身の価格で財を落札してもよいと表明した入札者のうち、もっとも優先順位が高い入札者が落札するオークションである(図を参照)。
オークションは効率的な財の配分や公平性、収益の最大化を目標として実施されることが多い。本研究は上記の結果を応用し、二人の入札者による入札談合を防止するオークションは効率性、公平性、収益の最大化のいずれか一つのみを達成できることを示した。



図(固定価格優先順位オークションの図示)

(作成)篠崎 弘毅